MCM、ORC蛋白質と相互作用するクロマチン結合蛋白質の探索 MCMあるいはORCと相互作用することが遺伝学的な研究から明らかにされている出芽酵母の細胞周期制御遺伝子CDC14とCDC45について、ESTデタ-ベースを検索することにより、ヒトホモログの候補を同定し、さらにヒト遺伝子の部分配列から、アフリカツメガエルCDC14とCDC45ホモログをクローニングした。特異的な抗体を用いた実験により、XCdc45はクロマチン結合蛋白質であり、複製前開始複合体の構成成分であるMCMやORCと異なり、核形成後に初めてクロマチンに結合することを明らかにした。 DNA複製開始に関わるクロマチン結合蛋白質の同定とその機能の探索 昨年度の研究でアフリカツメガエルMcm3(XMcm3)がヌクレオソームのコア蛋白質であるヒストンH3と相互作用することを明らかにしているが、今年度新たにXMcm2及び、XCdc45がヒストンH3あるいはH4と相互作用することを見いだした。また、XMcm2ではN末の特定のセリン残基のリン酸化は、その輸送活性調節に重要な役割を果たしているが、ヒストンとの相互作用には殆ど影響しないことを見いだした。今後、これら複製に必須な蛋白質因子とヒストンの相互作用の生理的な意義を解明する必要がある。 DNA複製開始に関わるクロマチン構造の検出 クロマチン構造の形態的な観察を容易にするため、アフリカツメガエル卵抽出液にプラスミドDNAを加え、形成されるクロマチン構造を精子核から調整した染色体を用いた場合と比較した。その結果、ORCはいずれのDNAにも結合するが、MCMは、ORCが結合したプラスミドには殆ど結合しないことを見い出した。今後、プラスミドDNAにMCMが結合するために必要な因子を探索する。
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