研究概要 |
エリスロポエチン(EPO)の自然標的細胞である赤芽球系細胞において、エリスロポエチン受容体(EPOR)の下流のJAKファミリー、STATファミリーを解析した。検索対象は、フェニルヒドラジンで誘導された貧血症マウスの脾腫から分離された赤芽球系細胞と、Friend白血病ウイルス(多血症株)で誘導されたマウス脾腫から分離された赤芽球系細胞で、夫々、81%、92%の純度を保っていた。前者では、EPO依存性に、JAK2,STAT5がチロシン燐酸化され、STAT5は核内へ移行し、STAT5が結合するIRF-1プロモーターのGAS配列、β-カゼインプロモーターのPRE配列と特異的に結合した。後者では、EPOの有無に関わらず、JAK1,STAT5が恒常的にチロシン燐酸化されていたが、STAT5は核内移行を示さず、従ってSTAT5の結合するGAS,PER配列とは結合できなかった。従ってFriend白血病ウイルスのgp55(env由来)はEPORに結合するが、JAK1は恒常的にチロシン燐酸化するもののこの経路で恒常的にチロシン燐酸化するSTAT5は核に移行せず、従って、他の転写因子が増殖に使われているらしい。今後、EPO/EPOR,gp55/EPORを介するSTAT5の燐酸化状態を明らかにしたい。
|