研究課題/領域番号 |
08458227
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
井川 洋二 東京医科歯科大学, 医学系研究科, 教授 (40085618)
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研究分担者 |
山村 康子 東京医科歯科大学, 医学系研究科, 講師 (50146809)
中村 正孝 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 教授 (30180392)
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キーワード | 貧血症脾 / Friend病脾 / 赤芽球系細胞 / EPOR / JAKファミリー / STATファミリー / STAT5の核内移行 / JAK1恒常的リン酸化 |
研究概要 |
エリスロポエチン(EPO)の自然標的細胞である赤芽球系細胞において、エリスロポエチン受容体(EPOR)の下流のJAKファミリー、STATファミリーを解析した。検討対象は、フェニルヒドラジンで誘導された貧血症マウスの脾腫から分離された正常とみなされる赤芽球系細胞と、Friend白血病ウイルス(多血症株)で誘導されたマウス脾腫から分離された赤芽球系細胞を用い、それぞれをTER119抗体を指標に分画したところ81%、92%の純度が得られた。これら細胞においてEPOR特異抗体で沈降する蛋白をJAKファミリーの抗体で検索したところ、前者では、EPO依存性にJAK2、STAT5がチロシン燐酸化され、STAT5は核内へ移行し、STAT5が結合するIRF-1プロモーターのGAS配列、β-カイゼンプロモーターのPRE配列と特異的に結合した。後者では、EPOの有無に拘わらず、JAK1、STAT5が恒常的にチロシン燐酸化されていたが、STAT5は核内移行を示さず、従ってSTAT5の結合するGAS、PRE配列とは結合できなかった。従ってFriend白血病ウイルスのgp55(env由来)はEPORに結合するが、JAK1は恒常的にチロシン燐酸化するもののこの経路で恒常的にチロシン燐酸化するSTAT5は核に移行せず、EPOとの共働ではじめて核移行をし、増殖シグナルを送るらしい。今後EPO/EPOR、gp55/EPORを介するSTAT5のチロシン燐酸化状態を明らかにしたい。 他方、フレンド白血病細胞系ではEPOR下流のRas機能を打ち消すDN-Rasを導入・発現させると分化が誘導され、MARK回路が増殖に関与していることが示された。
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