研究課題/領域番号 |
08458232
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
金 在萬 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30029805)
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研究分担者 |
平山 恵津子 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (10247786)
安達 俊幸 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (40202634)
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キーワード | 骨格筋 / 細胞分化 / 筋管形成 / 細胞融合 / 分化プログラム / タンパク質のリン酸化 / Myogenin |
研究概要 |
筋芽細胞の分化、特にその融合による筋管形成機構を解明すべく、ウズラ胚筋芽細胞をラウス肉腫ウイルス(RSV)の温度感受性変異株で形質転換したQM-RSV細胞を確立した。このQM-RSV細胞はウイルスの許容温度である35.5℃では形質転換細胞の性質を示し増殖し続けるが、非許容温度である41℃では正常細胞の性質を示し分化誘導され筋管形成を経て筋線維へと成熟する。筋管形成機構解析の一環として、筋芽細胞の融合に関与する分子を特定すべく、QM-RSV細胞膜を抗原として筋管形成を阻害する単クローン抗体の作製を試みH-145抗体を得ている。今年度は、このH-145を用いてその抗原分子がどのように筋管形成に関与しているかを明らかにするため、QM-RSV細胞の41℃での分化過程におけるH-145抗原分子の挙動を蛍光抗体法で詳しく観察した。 H-145抗原は分子量116kDaの糖蛋白質で、35.5℃で培養した未分化QM-RSV細胞においてもわずかに発現しているが、41℃で分化誘導するとその発現が増大し、筋管形成が出現する20時間前後で最大値に達する事を既に観察している。そこでH-145を用いて間接蛍光抗体染色し、共焦点レーザー顕微鏡で詳しく観察すると、未分化細胞ではわずかに細胞表面が染色される他にゴルジ体が染色された。41℃で分化誘導すると、ゴルジ体の蛍光量が増加すると共に細胞質全体に拡がり、分化誘導18時間、即ち筋管形成初期になると細胞膜まで強く染色された。さらに、バフィロトロマイシンA1を用いた実験結果及びQM-RSV細胞から細胞膜を調製しH-145で免疫ブロッティングした結果を考え合わせると、筋管形成のための細胞融合にはある一定量以上のH-145抗原が細胞膜に発現する事が必要である事が強く示唆された。一方、筋芽細胞が分化反応へと方向付けられる(commitment)ためには、それに先立ってMyogeninの発現が必要であること、さらにある種のタンパク質の脱リン酸化が必要であることが明らかにされた.
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