研究概要 |
発生生物学の研究にニワトリ胚は非常に重要な実験系である。特に,四肢の形態形成においては重要な発見はニワトリ胚を用いた研究から得られている。ニワトリ胚において,レトロウイルスを用いた遺伝子発現系が開発され,特にRCASを用いた系は非常に有用な系である。しかし,挿入できるcDNAの大きさが2kb以下であることから,長いcDNAを発現できない欠点がある。そこで,この欠点を解消するために,別のレトロウイルスベクター(pSNIZ)を用いる方法があるが,そのレトロウイルスを作製するのが非常に困難を伴うことがわかった。そこで,両者を組み合わせて使用することにより,両者の欠点を解消する方法を考えた。その考えが実用的であるかどうかを確かめるため,マーカー遺伝子として,LacZの代わりに,GFPを用いることにした。GFPの改良型であるEGFPを用いた系で,実際にニワトリ胚の細胞で蛍光が観察であきるかどうかを調べ,実用性があることを確かめた。さらにGFP融合蛋白質においても同様に使用可能であることを確かめた。ニワトリ胚にGFP産生細胞を移植し,実際に胚において蛍光が観察できるかどうかを確かめた。その結果,蛍光は非常に弱く,現在のままでは,胚そのものでの実験は困難であることがわかった。しかし,細胞レベルでは,切片等を作製することにより観察できることがわかった。今後,さらに蛍光を強める工夫が必要である。そのためには,GFPのコピー数を高くする必要がある。
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