研究課題/領域番号 |
08458256
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
植村 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
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研究分担者 |
戸田 正博 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20217508)
韓 春錫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40306832)
竹内 京子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80116954)
石井 加代子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30193246)
矢崎 貴仁 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80200484)
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キーワード | 神経形態形成 / 神経再生 / 細胞接着蛋白 / L1蛋白 / 免疫グロブリンスーパーファミリー / フォスファカン / 末梢神経ミエリン蛋白 / 変異型ヘルペスベクター |
研究概要 |
神経形態形成と再生における細胞接着蛋白群の機能の研究を行い、次のような成果を得た。 a) L1蛋白は神経組織に特異的に発現し、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する高分子細胞接着蛋白である。脳では発生初期にスブチリジン様プロテアーゼの発現がみられ、それによって分子量20万のL1が14万と8万のフラグメントに分解され、接着能が低下し機能変化する可能性が示された。 b) Pax6を欠損したマウスでL1免疫陽性の視床皮質路の線維走行には著しい異常がみられ、Pax6陽性細胞がこの線維の誘導に関与すると推定された。 c) 中脳ドーパミン神経細胞は細胞移動の時期にフォスファカンを発現するが、L1陽性線維との異種性の相互作用によって細胞移動が制御されることが示唆された。 d) 日本の遺伝性水頭症の患者にL1の新しい遺伝子変異を見出し、大脳の発達異常においてL1蛋白の発現が種々に変化することを明らかにした。 e) カイニン酸投与ラットの海馬の反応性アストロサイトにポリシアル酸化NCAMの発現がみられ、苔状線維の発芽に関与する可能性が示された。 f) 末梢神経ミエリン膜蛋白のPOとPASII/PMP22の精製法を開発し、それらの構造解析を試みた。Charcot-Maric-Tooth病1B型患者のPO遺伝子に細胞外ドメインのLys131Argの変異が見出され、ミエリンのコンパクションの異常をきなすと推測された。 g) 変異型ヘルペスベクターによるL1cDNAを導入し発現させたシュワン細胞は神経細胞の突起伸展を促進し、アンチセンスL1によりL1発現を抑制した系では突起伸展が抑制され、変異型ヘルペスベクターの有用性が示された。
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