研究課題/領域番号 |
08458266
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
伊佐 正 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (20212805)
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研究分担者 |
斎藤 康彦 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (70290913)
相澤 寛 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40222434)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 上丘 / 眼球運動 / 空間的注意 / アセチルコリン / スライス / パッチクランプ / ラット / サル |
研究概要 |
視野中心の柱視点が消灯した後数百ミリ秒のギャップを導入して注意をいったん周辺視野に拡散させてから周辺にターゲットを呈示すると70-80ミリ秒という短い反応時間のサッケード運動(express saccade)が誘発されることが知られている。我々はexpress saccadeの発現機構は、上丘浅層-中間層という視覚運動変換過程の短絡路が促通されることによるのではないかと考え以下の研究を行なった。 (1)上丘局所神経回路の構造と動作特性の解析 ラット上丘スライスにおいてをホールセルパッチクランプ法による記録とバイオサイチンによる細胞内染色を用いて、視神経から上丘浅層または視神経層のニューロンを経て、中間層のニューロンによる興奮性伝達経路の存在を証明した。この経路の興奮性シナプス伝達はAMPA型及びNMDA型のグルタミン酸受容体を介する。この経路の伝達は通常GABA系による強い抑制を受けている。また上丘中間層には脚橋被蓋核由来のアセチルコリン作動性入力があることが知られているが上丘中間層のニューロンはニコチン受容体の活性化により顕著な脱分極応答を示し、その結果、ニコチン投与によりこの上丘浅層-中間層への信号伝達は顕著に増強された。このように、上丘浅層から中間層への信号伝達はGABA系による抑制、アセチルコリン入力による促通というダイナミックな修飾を受けていることが明らかになった。 (2)サル上丘中間層へのニコチン投与の影響 眼球運動課題を訓練したニホンザル2頭の上丘中間層にニコチン1mMを1mL注入した。注入前はギャップなしでの視覚誘導性サッケードの反応時間は140-150ミリ秒だったが注入後、注入部位が符号するベクトルのサッケード運動の反応時間は大半が100ミリ秒以下となり中間層のニコチン受容体の活性化が実際にexpress saccadeの発現を促進することが明らかになった。
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