研究課題
基盤研究(B)
本研究は、視覚的注意(visual attention)により、視床外側膝状体や大脳皮質一次視覚野(V1)など、視覚情報処理の初期段階において出力のコントロールがなされるという仮説を検討することを目的としている。初年度に当たる今年は視覚刺激システムの整備および予備実験をおこなった。1)視覚刺激呈示システムケンブリッジリサーチ社の視覚刺激呈示システムVSG2/3を用いて、CRTモニター上の限られた狭い範囲と、それ以外の広い範囲とに異なる刺激要素からなる視覚刺激すなわち図-地分化刺激を呈示し、かつ刺激の空間周波数、校正線分の傾き、運動方向、図-地の大きさのバランスなど様々のパラメータを簡便に制御することが可能なシステムを開発した。2)予備実験麻酔・非動化したネコのV1ニューロンの活動を細胞外記録し、上記の刺激システムを用いて呈示した視覚刺激に対する応答を解析した。その結果、ニューロンの受容野をちょうどカバーして刺激するような図刺激とその周囲全体をカバーするような地(背景)刺激とを組み合わせて刺激した場合に、図刺激のみの場合の反応を促通あるいは抑制するような複雑な相互作用が出現することが見いだされた。個々のV1ニューロンの受容野は小さいが、その活動は受容野の周囲の刺激との相対的な関係による修飾を受け、それは機能的には情報処理初期段階にける「注意」と見なすことができるかもしれない。
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