研究課題/領域番号 |
08458271
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小松 由紀夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (90135343)
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研究分担者 |
枝川 義邦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50303607)
岩本 由美子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (10291907)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | シナプス可塑性 / 長期増強 / 抑制性シナプス / K^+チャンネル / 視覚野 / GABA / development |
研究概要 |
大脳皮質視覚野の視覚反応性発達の基礎過程と考えられている、抑制性シナプス伝達の長期増強と長期抑圧の分子機構を、ラット視覚野スライス標本を用いて解析した結果、以下に記す成果が得られた。 1. 長期増強の誘発に関するシナプス後細胞内での信号伝達機構を解析したところ、誘発が次のような機構によることが示唆された。青斑核と縫線核の細胞の活動によりノルアドレナリンとセロトニンが視覚野で放出されて、α_1と5-HT_2受容体が共に活性化されいるときに、抑制性シナプスが強く活動してGABA_B受容体が活性化されるとモノアミン受容体を介するIP_3,の生成が増強される。これによりIP_3受容体を介して細胞内ストアーからCa^<2+>が放出されると、Ca^<2+>依存性過程が活性化されて伝達効率の上昇につながる。 2. 長期抑圧の誘発機構を解析したところ、シナプス後細胞の活動電位発生に伴ないL型Ca^<2+>チャンネルを通してCa^<2+>が流入し、シナプス後細胞内のCa^<2+>濃度が上昇すると長期抑圧が生じることが分かった。長期抑圧は、Caged Ca^<2+>を用いてシナプス後細胞内のCa^<2+>濃度を上昇させるだけで生じたので、その誘発にはCa^<2+>濃度の上昇だけで十分であり、抑制性シナブスの活動とは無関係に生じうる。 3. 長期増強の発生は細胞外液の陽イオン組成に強く依存していた。長期増強の発生頻度は細胞外のCa^<2+>濃度の上昇や、K^+濃度の低下により上昇した。また、細胞外液にK^+チャンネル・ブロッカーのcharybdotoxinやCs^+を加えるても上昇した。従って、長期増強は、膜電位依存性のK+チャンネルにより制御されており、そのチャンネルが閉じていると十分量のCa^<2+>が流入して長期増強が生成するものと思われる。
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