研究課題/領域番号 |
08458272
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
金子 章道 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051491)
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研究分担者 |
青木 香織 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00276213)
金田 誠 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30214480)
渡辺 修一 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (60138120)
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キーワード | 網膜 / 双極細胞 / カルシウムチャネル / スライス標本 / パッチクランプ法 / マウス |
研究概要 |
視覚系には網膜から中枢へ至る各レベルで光強度が増したときに応答するON型ニューロンと、光強度が減少したときに応答するOFF型ニューロンとが存在する。ON型応答とOFF型応答とは網膜の最初のシナプス、すなわち視細胞と双極細胞間のシナプスで形成され、前者には代謝型グルタミン酸受容体が、後者にはチャネル型グルタミン酸受容体が関与していることが明らかにされてきた。代謝型グルタミン酸受容体が関与するON型双極細胞において、最終的に形質膜のイオンチャネルを制御するのは細胞内cGMPであることが多くの研究者に認められているが、グルタミン酸によって活性化した受容体が細胞内cGMP濃度を制御する機構に関与するわれわれの知識は極めて断片的である。また、ON型双極細胞はプロテインキナーゼCの強い活性を有していることが免疫組織化学の実験から示されているが、その役割は全く未知である。 そこで、本研究においては代謝型グルタミン酸受容体の活性化からcGMPによって活性化されるチャネルに至るまでの細胞内情報伝達経路と、プロテインキナーゼCや細胞内骨格によるチャネルの修飾作用を明らかにすることを目的とした。平成8年度においては、まず哺乳類網膜スライス標本の作成法を確立することから始めた。ミリポア濾紙の上に張り付けた剥離網膜を濾紙ごと剃刀の刃で150〜200umの厚さにスライスし、記録用チャンバーに横倒しに固定し、潅流液中で水浸レンズを用いて観察しながら記録を行った。パッチ電極には0.5%のルシファイェロ-を加えておくと、whole cellクランプ作成後1〜2分で色素が細胞内へ拡散し、樹状突起を含め細胞の形態を蛍光顕微鏡下で観察できた。双極細胞のwhole cellクランプ法による記録下で、まずカルシウム電流の記録を行ったところ、これまでマウスの単離双極細胞で報告されてきたT型カルシウム電流とは異なる性質のカルシウム電流が記録されたので、その同定を進めている。
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