研究概要 |
Crj:Wistarラットの集団の中で自発性の強直-間代性けいれんを発症する個体を近交系化することによって開発されたNERの特性評価を行った。兄妹交配のF9世代以降では、NREの94%-98%にけいれん発作が発症した。典型的な発作は、前肢のもがき行動からwild running jumping、後方への弓なり姿勢、次いで強直性けいれん、間代性けいれん、続いて弛緩状態に入る。けいれん発作は通常2〜4カ月齢の間に起こり、発作頻度は12時間あたり0.45ア0.21回であった。脳波検査では大脳皮質と海馬には強直-間代性けいれん時において、高振幅の棘波群発および多棘波-徐波複合が見られ、けいれん発作終了と共に脳波は平坦化する。中枢神経系を含む諸器官において、何ら形態学的変異は見だされていない。ペンチレンテトラゾールの静脈内接種に対して高いけいれん感受性をもち、放り上げ刺激でけいれん発作を観察することができる。角膜電気刺激によるけいれいん誘発の感受性が高いが、触、音、光、及び耳殻電気刺激に対するけいれん誘発性は、対照ラットと比べ有為差はない。正常ラット(SD)との交配実験では、F1の0%(0/46),F2の25.5%(13/51),戻し交雑仔の63.6%(56/88)にけいれん発作が観察された。NERのけいれん発作の発症に関与する遺伝子のマッピングを目的にして、F344/DuCrjとの間での戻し交雑仔を作製して、放り上げ刺激による各個体の発作形質の判定をおこなった。全ゲノムにわたる多型マーカーのタイピングデータについて連鎖解析を行った結果、ラット第3染色体のD3M2Mit38において有為な偏りを見つけた。NERの強直-間代性けいれんは、ヒトの全般てんかん発作に相当すると考えられ、てんかん研究のすぐれたモデルと評価できる。
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