研究課題/領域番号 |
08458282
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安斉 順一 東北大学, 薬学部, 教授 (40159520)
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研究分担者 |
前原 和平 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (90181817)
柏木 良友 東北大学, 薬学部, 助手 (50204384)
鈴木 巌 東北大学, 薬学部, 助手 (30226493)
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キーワード | 酵素膜 / バイオセンサー / 複合膜 / アビジン / ビオチン / 累積膜 / 白金電極 / 水晶振動子 |
研究概要 |
複合酵素膜の材料となる乳酸オキシダーゼ(LOx)およびアスコルビン酸オキシダーゼ(AOx)をビオチンで標識する手順の確立、さらにこれを用いた複合膜を電極上に形成する方法の最適化を実施した。LOxおよびAOxは活性化ビオチンを用いると容易に標識化されることが判明した。また、この標識LOxおよびAOxは、アビジンとの結合力を保持しており電極上で酵素累積膜となることが明らかになった。 この方法により、白金電極表面に10層のLOx累積膜を被覆した乳酸センサー、および同様にして10層のLOxと10層のAOx酵素膜を順に被覆した複合酵素膜乳酸センサーを作製した。前者のLOx累積膜のみで被覆した乳酸センサーは、乳酸に応答すると同時にアスコルビン酸に対しても応答電流を与えた(生理的濃度0.1mMアスコルビン酸に対して1600nA)。これに対して、LOxとAOxを同時に累積膜として被覆した乳酸センサーでは、0.1mMアスコルビン酸に対する応答電流は280nA程度に低減することができた。生理的濃度の乳酸に対するこのセンサーの応答電流値は15000nA程度であることから、LOx/AOx複合酵素膜で被覆すると乳酸センサーのアスコルビン酸に起因する妨害は除去できることが明らかになった。 また、この乳酸センサーの複合酵素膜の構造解析も併せて実施した。水晶振動子ミクロバランス法に基づく解析結果によれば、各酵素の電極への吸着量は単分子層よりやや少ない程度であることが判明した。さらに、回転ディスク電極を用いた実験から、複合酵素膜内の物質の拡散定数を評価した。その結果、酵素膜内も水中に近い大きな拡散定数を示したことから、酵素基質などは複合酵素膜内をスムースに拡散できるものと推定される。
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