研究課題/領域番号 |
08458285
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鎮西 敬子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30251052)
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研究分担者 |
柳 健一 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70239797)
大島 宣雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50015971)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 血行力学 / 灌流培養 / 血管傷害 |
研究概要 |
血管内腔を覆う内皮細胞は、血液と周辺組織をへだてる隔壁としてのみならず、種々の血管作動性物質を産生して全身の血行動態を調節するための重要な役割を演じている。この自己調節の機序を解明するための実験系として、培養内皮細胞を用いた灌流実験が多用されているが、その多くは短期の培養実験に基づくものであり、長期培養実験の報告はほとんどない。粥状硬化など、内皮細胞機能の長期的な変化に関連する疾患の病因を解析する上からも、安定した長期培養システムの確立が急務となっている。そこで本研究では、安定した長期連続培養系を流れ条件のもとに確立することを主たる目的とし、内皮細胞の形態と機能に関して、短期灌流培養(既報)および静置培養実験の結果との比較を行うものである。 平成8年度は、細胞培養基材表面を観察するための光学系・撮像系の調整、および、管型の培養装置を用いた内皮細胞の増殖動態の計測を主として行った。実験材料としては、ブタ大動脈から採取した内皮細胞を継代培養して使用した。これを1×10^6cells/mlの細胞懸濁液に調製した後、内径3ミリのガラス管に播種し前培養を行った。その後、120ml/minで培養液を灌流し、48時間の連続培養実験を行った。対照としては、通常の細胞培養用のPetri dishに播種し、静置培養条件下に置いた細胞を用いて、個々の細胞形態・増殖能の両面から比較検討した。内皮細胞の形態を評価するためには、ビデオを用いた経時的観察と、培養終了後に回収した細胞のギムザ染色標本に基づく観察とを行った。さらに、傷害からの回復過程を研究するために、内皮細胞層への圧迫刺激を与え、連続的な観察を行った。圧迫直後に多くの細胞が剥離し、直後の細胞数は10%以下にまで減少することが明らかになり、剥離部位からの血管内皮細胞の増殖は認められなかった。
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