研究課題/領域番号 |
08458286
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大野 隆司 千葉大学, 工学部, 教授 (70009257)
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研究分担者 |
中田 好則 国立療養所, 千葉東病院, 医師長
大川 祐輔 千葉大学, 工学部, 助手 (00213645)
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キーワード | ゼラチン / 可溶性コラーゲン / 人工髄核 / 架橋剤 / 生体中 / 分子量分布 |
研究概要 |
コラーゲンを可溶化させたゼラチンを用いて人工髄核を調製するための基礎的研究を継続して行っている。 昨年度には、比較的高分子量成分の多いゼラチンと架橋剤としてカリ明礬を用い、ゼラチン溶液のpHにより、硬化の程度が異なることを見いだした。 今年度は硬化させたゼラチンゲルを体温よりやや高めの40°Cで長期間保して、物性の変化が起こるかを調べた。保存期間が長くなるとゲル強度が減少しゲルの分解が起こることがわかった。ゼラチンを40°Cで保存することは、空気中の細菌による分解ではないかと考え、防腐剤を用いた。防腐剤を加えることによりゲル強度の減少の程度は幾分押さえられたが、減少することは防げなかった。これは硬膜剤が作用するpHが酸性であり、ゼラチン自身が酸によって分解することも合わせ起こっていると考えた。そこで他の架橋剤を用いて、検討を行った。架橋剤Aの場合も同様であった。架橋剤Bではゲル強度がカリ明礬より高くなり、ゲル強度の減少に要する期間が長くなるが、防腐剤を加えない場合には、やはりゼラチンの分解が起こった。架橋剤Bを空気酸化させてから添加すると、保存期間が長くなるに従いゲル強度が増加する傾向を見いだした。架橋剤Cではゲル強度が非常に高くなることを見いだした。 来年度は更に種々の架橋剤と種々の分子量分布を持ったゼラチンを用いて種々の条件で実験を継続する。生体中の条件を大気中で行うことは難しいが、生体中に近い条件を設定して、可溶性コラーゲンとしてのゼラチンを用いた人工髄核の開発の研究を進める。
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