研究課題/領域番号 |
08458289
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
千田 彰一 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30145049)
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研究分担者 |
西村 敏博 大分大学, 工学部, 助手 (70117406)
舛形 尚 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (70263910)
水重 克文 香川医科大学, 医学部, 講師 (90166009)
阪本 晴彦 香川医科大学, 医学部, 教授 (60106549)
松尾 裕英 香川医科大学, 医学部, 教授 (90028514)
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キーワード | 超音波顕微鏡 / 動脈硬化 / 血管内皮 / 音速 / 音響特性 |
研究概要 |
1目的 血管内皮細胞は動脈硬化発症時に大規模な応答を示すことが知られているが、その機序の詳細は不明である。今回の研究では超音波顕微鏡を用いて、培養血管内皮細胞における動脈硬化発症時の音響特性の変化を検討する。 2方法 試料の作成は本基盤研究(B)の助成により設置した細胞培養システムを用いて血管内皮細胞を継代培養した。またデータの取得に用いた主要機器は、研究代表者が平成6年までに受けた試験研究(B)の助成に基づき試作した超音波生物組織性状計測システムである。 100MHz、450MHz、600MHzの周波数レンズを用いて正常血管内皮細胞と低浸透圧負荷を加えた内皮細胞の撮像をCモード像とX-Zモード像にて行い、V(Z)解析を行った。 3結果 1.音響カプラとしては培養液を用いた場合が最も安定して長時間撮像可能であった。 2.位相差顕微鏡像の像とは異なり、内部は各周波数とも等高線状の明暗の干渉縞が観察された。干渉縞は形態を反映していると推測された。 3.450MHzでの観察が最も解像度よく撮像可能であり、核内と細胞質内に2個ずつの小顆粒が認められ、それぞれ核小体、中心体と考えられた。 4.X-Zモード像に見られる干渉縞の細胞部分のずれ量(ΔZ)は細胞の中央部に近づくにつれて大きくなった。低浸透圧負荷下ではΔZは小さくなり、Cモード像では干渉縞の個数は増加した。 5.V(Z)解析により求めた表面弾性波は、培養液中での表面弾性波は1490m/sec、低張液中では1534m/secであった。 以上の結果からΔZには細胞の形態と細胞内部の音速が共に関与することが示唆され、従来法のみでは細胞の音速およびそれに基づく弾性特性を評価することは困難であった。しかし、生きた細胞が安定して撮像可能であり、その動的変化を経時的に観察可能であったことより、障害内皮細胞モデルに対する薬剤負荷時の表面弾性波の変化を検討中である。
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