研究課題/領域番号 |
08458290
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 瑞夫 九州大学, 工学部, 教授 (10165657)
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研究分担者 |
井原 敏博 熊本大学, 工学部, 講師 (40253489)
中野 幸二 九州大学, 工学部, 助教授 (10180324)
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キーワード | DNAセンサ / 遺伝子センサ / バイオセンサ / オリゴヌクレオチド / フェロセン / 酸化還元活性種 / ボルタンメトリー |
研究概要 |
分子生物学や遺伝子工学の急速な発展にともない、DNAの科学が社会生活の中にも随所で見られるようになった。遺伝子診断・遺伝子治療も臨床段階まできており、世間の注目を集めている。そこで筆者らは遺伝子DNAを識別素子とする分離・計測化学の研究を続けてきた。本研究では、DNAバイオセンサの診断応用に関する基礎研究を目的とする。DNAを電極上に簡便かつ効率的に固定化する手法を確立し、遺伝子DNAのみならず、変異原物質、発ガン物質などの計測が可能となることを実証する。本年度はまず、新しいDNA固定化法の開発を試みた。その一つとして、5'末端付近をホスホロチオエステル化したオリゴヌクレオチドを合成し、金と硫黄の化学吸着を利用することで、オリゴヌクレオチドの金電極への固定化を試みたところ、その電気化学応答性からこれが再現性に優れたDNA固定法であることを確認した。次いでこれを遺伝子センサとして用いるための基礎検討を行った。検出系としては、金電極に固定化したオリゴヌクレオチドと末端に酸化還元活性種であるフェロセンを導入したオリゴヌクレオチドの2つを用い、この両者と相補的なターゲットDNAとからなるサンドイッチ複合体形成反応を利用することとした。系中に存在する相補的な塩基配列を持つターゲットDNAとハイブリッドを形成した時のみフェロセンユニットが電極表面上に濃縮されると考えられる。実際にターゲット遺伝子が系に存在する場合にはフェノセンに基づく電気化学的特性を確認することができた。一方、電極に固定したDNAと相補的な配列を持たない比較サンプルにおいてはフェロセン由来のピークはわずかであり、相補鎖と非相補鎖の間で還元電流値に明らかな差異がみられた。このことはこのセンサが選択的にターゲットDNAを検出していることを証明している。
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