研究概要 |
本研究では,波長可変なスクイズド光源の開発とそれを用いた固体分光研究を目指している.スクイズド光の発生方法としては,当初予定していたパラメトリック発振器を利用した直交位相スクイズド光の他に,外部共振器型高効率第二高調波発生装置を利用した光子数スクイズド光の発生も試みる.本年度は,チタンサファイアレーザのポンプ光源変更,外部共振器型第二高調波発生装置の改良,平衡型ホモダイン検出器の製作を行った. 1.チタンサファイアレーザ:励起レーザを従来のアルゴンイオンレーザーから半導体レーザー励起のNd:YVO_4レーザに変更することにより,低周波領域でのポンプレーザー由来の雑音を大幅に低減させ,次に述べる光子数スクイズド光の雑音低減率の向上を目指した. 2.外部共振器型第二高調波発生装置:第二高調波発生のための非線型結晶を,従来のLBOからKNbO_3に変更し,結晶の温度制御による90°位相整合を用いることで変換効率の大幅な増大(入力300mWで,変換効率25%)を可能にした.続いて第二高調波光の雑音低減率を測定する予定である.また,従来のLBO結晶によって発生させた第二高調波(波長380nm付近)は,固体分光への応用の一例としてCuCl超微粒子の超高分解能分光に利用した. 3.平衡型ホモダイン検出器:高量子効率フォットダイオード,超低雑音高周波増幅器およびハイブリッドジャンクションを利用したホモダイン検出器を製作した.この装置の雑音レベルは非常に小さく,上述の第二高調波発生装置から発生した光子数スクイズド光の雑音低減率を,0.5dBから測定することが可能な性能であることを確認した.
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