研究概要 |
1.八郎潟干拓地における反射法実験. 八郎潟干拓地には,ほぼ南北に通る活断層が伏在する可能性がある.その検証とふさわしい探査手法の確立のため,各種の反射法実験をした.下記の(1)は本研究費(追加採択)に先行した予備実験である.謝金は主として(2)の実験に当てられた. (1)S波主体の実験. この8月の実験では,主体は板たき振源によるSH波実験で,補助的にドロップヒッター振源によるP波の実験もした.S波の反射記録は60m程度以浅では,P波よりもはるかに明瞭であった.S波では波長が短く,受振点(ch)間隔を2mとした.1振源につき24chずつ2回,計48chの記録をとった(測線長約330m).共通反射点重合度を高めるためには,それと同程度に振源点も密にする方がよいが,作業効率を高め,長区間を概査するため,振源点間隔を6〜12mとした.重合度が低い所では,反射断面はノイズで乱された.重合度さえ高めれば,よい結果を期待できる. (2)P波主体の実験. S波探査は浅部に有利であるが,小規模となるため探査効率は低い.P波で広範囲の深部構造を採り,目標を絞って浅部をS波で探査するのが,方法論的に順当であることが改めて確認された.そこで,強力な打撃振源と高度の受振能力(6/ch×60ch)を持つサンコーコンサルタントの協力により,S波測線と重ねて,11月に測線長約1.5kmのP波反射法実験を実施した.これにより深度約700mまでの反射断面が得られ,断層と見られる構造も予想した所(S波測線内)に認められた.しかし,S波反射断面は,浅部断層の有無を断定できるほど,まだ明解ではない.なお,下記の注目すべき弾性波挙動については,特設の3成分記録に基づき検討中である:a)やや深部(数10m)までのP波の異常低速性.b)測線となった農道盛土に特有な振動特性.c)SV波反射波の卓越発生. 2.システムの整備. 探鉱器(DAS-1)を24chから48chに増強すると共に,周辺部品も補充し,探査システムの能力向上をはかり,次年度の実験に備えた.専用パソコンの導入により解析処理能力も高めた.
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