研究概要 |
1.タイプ1IP_3受容体のIP_3結合の"core"領域は、N末端側225〜578アミノ酸に存在し、この中で3つの塩基性アミノ酸(Arg-265,Lys-508,Arg-511)は負に荷電したIP_3との結合に必須である。 2.Sf9細胞で発現させたタイプ1と3のIP_3結合のCa^<2+>依存性は正反対で、Ca^<2+>上昇に依存してタイプ1では親和性が低下し(EC_<50>が100nM Ca^<2+>)、タイプ3では逆に増大する(872nM)、可逆的な変換を示した。IP_3誘導Ca^<2+>放出(IICR)活性は、タイプ3はタイプ1よりもIP_3感受性が低かった(EC_<50>=358nM vs 226nM IP_3)。したがって、Ca^<2+>とIP_3の両方の細胞内濃度の変化がタイプ特異的なIICRを制御すると示唆された。 3.タイプ2は高親和性と予想されていたが、タイプ1knock-outマウスの肝臓IP_2受容体(ほとんどがタイプ2)のIICRのIP_3感受性はタイプ1と同じくらいであった(EC_<50>=260nM)。 4.Green Florescent Proteinとの融合蛋白質をXenopus卵母細胞で発現させ、膜貫通チャネル領域を含むC末端部分がCa^<2+>ストアへの四量体形成に関与することを明らかにした。 タイプ1遺伝子promoterの制御下でβ-gal遺伝子を発現するtransgenicマウス系統を樹立して神経系における発現を解析した。このpromote内に小脳特異的な2つの領域(-398〜-295に正の制御領域、-334〜-318にE-box類似のbox-I)を同定した。また、タイプ2遺伝子promoterの一次構造も決定し、複数の転写開始点を明らかにした(少なくとも7つ)。 6.ラット腎臓の免疫組織化学的解析により、タイプ1は血管平滑筋とメザンギウム細胞に、タイプ2は皮質から内髄質の集合管間在細胞に、タイプ3は血管平滑筋・メザンギウム細胞・皮質集合主細胞に分布することを明らかにした。細胞内分析では、タイプ1とタイプ2が細胞質全体に対して、タイプ3は基底膜側に限局することから、極性のあるCa^<2+>シグナル伝達が示唆された。
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