研究課題/領域番号 |
08459011
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
相場 芳憲 東京農工大学, 大学院・連合農学研究科, 教授 (00014944)
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研究分担者 |
戸田 浩人 東京農工大学, 農学部, 助手 (00237091)
小池 孝良 北海道大学, 農学部, 教授 (10270919)
生原 喜久雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (00014960)
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キーワード | 森林生態系 / 土壌水質形成 / 溪流水質形成 / 林外雨 / 樹幹流 / 林内雨 / 化学的風化 |
研究概要 |
昨年と同様に、降雨の水質が樹冠や樹幹を通過し、渓流水に至るまでにどのように変化するのかを森林生態系の物質循環と関連させて調査した。 林外雨から林内雨にかけて、H^+量はヒノキ壮齢林で約2/3、スギ壮齢林で約1/2に減少し、それぞれ0.2、0.1kg/haになった。スギ林のA_0層通過雨のH+量は林内雨の1/10であった。渓流の水質は、土壌生態系へのインプットされるA_0層を通過した降水中のH^+量と鉱物層で生成されたH^+量による粘土コロイドや腐植に吸着している塩基との交換や鉱物の化学的風化の結果として形成されることを明らかにした。したがって、鉱物層でのH^+の量的な動態特性の解明の重要性が指摘された。 林内雨における湿性沈着量、乾性沈着量および溶脱量の割合は、スギ中齢林で、Kが1:2:7、CaとMgが2:4:4、Naが6:3:1、Clが4:3:3、SO_4-Sが5:3:2で、元素でそれらの割合は大きく異なった。ヒノキ中齢林では、どの元素も乾性沈着と溶脱量の割合がスギ林よりも若干小さかった。 ミズナラ林やコナラ林において、林内雨および樹幹流は、林外雨に比べて、特にCa量が多く、pHも高い。これらの広葉樹林は林外雨から供給される酸性物に対して高い緩衝能力がある。また、下層植生も森林生態系の物質循環を考える上で、重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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