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1996 年度 実績報告書

長鎖DNA分子の高次構造-相転移現象と構造制御

研究課題

研究課題/領域番号 08459013
研究種目

基盤研究(B)

研究機関名古屋大学

研究代表者

吉川 研一  名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (80110823)

キーワード長鎖DNA / 一次相転移 / 単分子観察 / 蛍光顕微鏡 / 履歴現象 / 分子内相分離 / コイル-グロビュール転移 / モンテカルロ・シミュレーション
研究概要

本研究課題本年度の目的は長鎖DNA分子の高次構造の特性解析を押し進めることであった。具体的には既に発現していた単一高分子鎖の相転移挙動を実験・理論両面からさらに追究するとともに、その相転移現象と関連させることにより、高分子鎖の折り畳みの制御の方法を確立することを目指した。
本年度の研究成果は次の6点に集約される。(1)DNA単一鎖の相転移挙動の蛍光顕微鏡を用いた直接観察による解析と、その相転移産物の電子顕微鏡観察による微細構造解析の両者を照合することにより、「長鎖DNAの単分子結晶は一次相転移を通じて形成される」ことを明らかにした。(2)長鎖DNAの単分子結晶の形成過程を溶液中での直接観察によって捉え、それが核形成・核成長の一次相転移プロセスであることを明らかにした。(3)さらにそのダイナミクスをモンテカルロ・シミュレーションによって理論的に再現することに成功した。(4)結晶形成のダイナミクスに関する理解に加え、結晶のスタティックな安定条件を理論的に予測し、実験によって検証を行なった。(5)凝縮状態DNAの構造に分子内相分離を引き起こす凝縮剤を同定した。(6)長鎖DNAの高次構造に溶液の履歴を反映した制御が観察される具体的現象を特定し、その効果の原因として、共存化学種のDNAへの競争的結合の速度過程と、系の自由エネルギーの多重安定性とが関係することを理論的に検討し実験との定性的な一致を得た。
今年度得られた上述の知見によって、相転移現象の動因に対する理論的理解が一段と深まったこと((1)〜(3))に加え、相転移を通じて形成される構造の制御に関しても、実験と理論の両面について新しい地平を拓くこととなった((4)〜(6))。以上6点の知見は全て平成8年中の国際学術誌に掲載された。今年度所定の目的は充分達成されたと考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 吉川研一他: "Marked Discreteness on the coil-globule transition of single duplex-DNA" Ber.Bunsenges.Phys.Chem.Vol.100. 876-880 (1996)

  • [文献書誌] 吉川研一他: "Nucleation and Growth in Single DNA Molecules" J.Am.Chem.Soc.Vol.118. 929-930 (1996)

  • [文献書誌] 吉川研一他: "Self Organized Nanostructure Constructed with a Single Polymer Chain" Chem.Phys.Lett.Vol.261. 527-533 (1996)

  • [文献書誌] 吉川研一他: "Structure of Collapsed Persistent Macromolecule : Toroids vs.Spherical Globule" Biopolymers. Vol.41. 51-60 (1997)

  • [文献書誌] 吉川研一他: "Phase Discrete Transition and phase Segregation in a Single Double-Stranded DNA Molecule" Phys.Rev.Lett.Vol.77. 2133-2136 (1996)

  • [文献書誌] 吉川研一他: "The Folded State of Long Duplex-DNA Chain Reflects Its Solution History" Biophys.J.Vol.71. 932-939 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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