研究概要 |
1.ナイロン6(Ny6)とポリ乳酸(PLA)とのエステル/アミド交換反応を、温度制御が容易でかつ混練性能に優れた二軸押出機内で行い、80wt%のNy6と20wt%のPLAとからなるブロックコポリマー(BP)の合成した。未反応ホモポリマーを除去することなくブレンドに供した。卓上型ニーダーを用いて混合組成の異なる3種溶融ブレンド(混合比Ny6/BP;4/1,3/1,2/1)を調製した。70mm×4mmの短冊状の紙片として、水系浸漬液中に浸漬し加水分解挙動を検討した。結果を以下にまとめる。 (1)60℃の蒸留水中に浸漬すると、浸漬液の紫外吸収スペクトルの260nm近辺にカルボニルのn→π遷移によると判断される吸収が現れ、加水分解が進むにつれ吸光度(?)が増大することが分かった。一方紙片のメタクレゾル希薄溶液の粘度測定により求めた[η]は、?にほぼ反比例して低下することが確かめられた。この結果から蒸留水を浸漬液に選ぶならば、紫外吸光度よりブレンド試料の崩壊度を推定し得る可能性が示唆された。 (2)浸漬液にpH7の緩衝液を用いた場合よりも、蒸留水を用いた場合に崩壊速度が速くなった。これは加水分解によって生成した乳酸によるものと推察される。 (3)ブレンド比による崩壊速度の差は認められなかった。ブロックコポリマーとすることにより、相溶性が向上したことが原因であると考えられる。 2.メチルメタクリレートとアクリルアミドまたはN,N-ジメチルアクリルアミドとのラランダムコポリマーを共成分とするブレンドを蒸留水に浸漬し、浸漬液中に生成した水溶性分解物を^1H-NMR,FT-IR,により分析し、以下の結果を得た。 (1)水相には、共成分は溶解していず、Ny6内にトラップされている。 (2)共重合率による分解速度の差は、殆ど認められない
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