研究概要 |
湖岸据えつけ型栽培装置は,昨年度と同様に児島湖に近接し,湖に流入する河川の川岸に設置し,河川水を流下させながら,花卉類17種類23品種の栽培を行い,本方式で栽培可能な種類のスクリーニングを行った.また,湖面回遊型栽培装置は,昨年度に作成したものの一部を改造し,花壇用草花類を栽培した. 1. 湖岸据えつけ型装置は,雨よけビニルハウス内に,栽培ベッド(幅540,深さ35cm,長さ6m,3連区)を1/80の勾配で設置し,河川水を約25liter/minの流量で30分ごとの間断として流下させた. 2. スクリーニング実験は,花壇用草花類(壇)と切り花類(切)に分けて,5月上旬〜10月下旬に順次植え付けながら行った結果,次の4段階に分類できた.A(正常に生育):ニチニチソウ(壇),ホウセンカ(壇),マリーゴールド(壇),セロシア(切),ジニア(切),スプレイギク(切)(セイアロハ,金風車,ウィング,エース).B(ほぼ正常に生育):クルマギク(壇),わい性ヒマワリ(壇),スプレイギク(切)(イエローシューズ,フライ).C(生育したが一部枯死):ガザニア(壇),キンセンカ(壇),コリウス(壇),スプレイギク(切)(ディッパー).D(生育せずに枯死):マツバボタン(壇),サルビア(壇),ニコチアナ(壇),ペチュニア(壇),ゼラニウム(壇),ベゴニア(壇). 3. 上記の実験に使用した河川水を1週間ごとに分析調査を行った結果,各無機要素の平均濃度は次のようであった.NO_3-N:1.21,NH_4-N:0.12,P:0.60,K:13.25,Ca:24.15,Mg:10.82,Fc:0.48,Na:55.09各ppm.pHは平均7.48であった.これらの無機要素濃度からみて,この河川水は花卉類の正常な生育にとって必要な養分をすべて含んでいると考えられた. 4. 湖面回遊型装置は,昨年の試作機を改造して,幅1.2m,長さ3.1mと大型のものとした.前後に1枚ずつ搭載した太陽電池パネルを動力源として直流型船外機によって推進する構造のものであり,装置の両端部に障害物感知センサをとりつけて推進機を正逆回転するようにして,長水路を往復運転出来るようにし,さらに運転時間を制御できるようにタイムスイッチを取り付けて改造した.そして,この装置の中央部に設置した栽培用パネルも1.8m^2と大型にした.この装置によって,ペチュニアおよびニチニチソウを栽培したが,後者は特に良く生育して, 「動く花壇」として実用化できた.
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