ヒト多発性嚢胞腎症モデルであるDBA/2FG-pcyコンジェニック系統とC57BL/6FG-pcyコンジェニック系統を用いて、F1動物およびB.C動物を作製し、生後60日齢にて剖検した。F1動物では全てC57BL/6-pcy(B6-pcy)タイプと同様の腎組織像を呈した。さらに、F2動物およびBC1動物においても同様の手法において、検索し、腎組織像に若干の変異を観察することができた。P世代、F1およひF2世代、さらにはBC1およびBC2世代の個々の肝臓は-20℃デプリーザによる凍結保存を行い、PCRサンプリング用とした。最近Wooらは、野生マウスM.m.castaneusを用いた解析から、pcy遺伝子によって発症する嚢胞腎症の進行を調節する修飾遺伝子MOP-1およびMOP-2の存在を示唆した。そこで先の交配から得られたBC1世代マウスのDNAと、MOP-1とMOP-2が存在する、マウス第4と第16番染色体上のマーカーを反応させ、得られたPCR産物のマイクロサテラィト多型解析を用いて分析した。結論としては、マウス多発性嚢胞腎症遺伝子であるpcyは、第9番染色体上に位置することを再度確認した。しかし、嚢胞腎症の進行あるいは修飾する遺伝子が、今回検索した第4と第16番染色体上に存在するプライマーとの連鎖は認められなかった(投稿準備中)。 研究の最終目標であるpcy遺伝子を有するリコービナントコンジェニック(RC)系統による解析については、現在兄妹交配F15〜16代目を順調に進行している。
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