研究課題/領域番号 |
08459026
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
浅川 義範 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (50033874)
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研究分担者 |
長島 史裕 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (60228012)
豊田 正夫 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (50122586)
橋本 敏弘 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (10075955)
通 元夫 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (90163956)
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キーワード | 蘚苔類 / ケモシステマティクス / 化学系統分類 / 香気成分 / 揮発成分 / 芳香族化合物 / テルペン / GC-MS |
研究概要 |
【1】9年度に採集したコケ植物は151検体47種に及んだ。全てのエーテル抽出物については成分研究を行うか、あるいはTenaxによる香気成分の捕集を行って、そのGC-MS(平成8年度の補助金で購入)分析を試みた。Tenaxによる場合のGC-MS分析結果はエーテル抽出物のそれに比べて、感度的に劣ることが判明した。ジャゴケの強い香気(サビネン、ボルニールアセテート、桂皮酸メチル)であればその成分の同定は可能であったが、多くのコケ植物の香気成分の分析には適当な方法ではないことがわかった。一方、固相マイクロ抽出(Solid Phase Micro Extraction)法では抽出時間はTenaxでの捕集時間に比べて、はるかに短く数分で完了し、溶媒をいっさい使用することがないのでGC-MSでの超揮発成分の分析も可能になることが判明した。このことは数種の試料で有効であることを確認した。次年度はSPME法でコケ植物の香気成分分析を行う予定である。 【2】苔類クモノスゴケ(Pallavicinia subciliata)のエーテル抽出物について揮発成分の分析を行った結果、ビシクロゲルマクレンが主成分であることが明らかになった。一方、この抽出物から5種のジテルペンを単離し、化学構造を解明したところ、これまでにない新規な炭素骨格を有することが判明したので報告した。また、苔類シダレヤスデゴケ(Frullania tamarisci)のエーテル抽出物には新規セスキテルペン2量体が主成分で含まれることが判明した。これはヤスデゴケ属コケ植物のケモシステマティクスに有効な指標化合物であることが判明したので報告した。一方、蘚類ヒロハシノブゴケ(Floribundaria nipponica)には新規トリテルペン1種を含む3種のトリテルペン炭化水素が含まれることを今回の成分研究により明らかにした。さらに、苔類マルバハネゴケ(Plagiochila ovalifolia)の抽出物はP-388細胞に対して細胞毒性活性を示すことが明らかになっていたが、今回の研究により強い細胞毒性活性を示す2,3-セコアロマデンドラン型セスキテルペンの単離に成功した。
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