研究課題/領域番号 |
08504002
|
応募区分 | 試験 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田辺 徹美 東京大学, 原子核研究所, 教授 (20013394)
|
研究分担者 |
野田 耕司 放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター・医用重粒子物理工学研究部, 主任研究者 (80228329)
菅井 勲 東京大学, 原子核研究所, 助手 (80150291)
千田 勝久 東京大学, 原子核研究所, 助手 (90013391)
片山 一郎 東京大学, 原子核研究所, 教授 (30028237)
|
キーワード | 加速器 / 電子冷却 / 原子物理 / 原子衝突 / 解離性再結合 |
研究概要 |
電子冷却に要する時間及びイオンビームの到達温度は、カソードの温度約1000℃(電子エネルギー約100meVに相当)によって決まり、これが冷却の限界となっていた。しかし、電子ビームを強いソレノイド磁場の中で発生、加速し、その後ソレノイド磁場の強さをゆっくり下げてビームを断熱膨張させることによつて、電子温度を熱エネルギー以下に下げることができる。本研究では先ず3.5Tの超伝導電磁石を製作し、この強磁場の中で作られる電子ビームを0.035Tの低磁場へと導くことによってビーム断面積を100倍に膨張させる。これによって理想的には従来の冷却装置に比べて100分の1の1meVという超低温電子ビームが実現されるはずである。このような高分解能電子ビームを用いてイオンビームの高速冷却および電子・イオン衝突の精密研究を行う。電子冷却装置は大きく分けて、イ)電子銃部、ロ)電子冷却部、および、ハ)電子収集部からなり、全体がソレノイド磁場の中に入れられている。冷却装置の電子温度をカソード温度の1/100に下げるために、イ)について次の改造を実施した。1)カソードの断面積を冷却部電子直径50mmの1/100に下げ、直径5mmとした。これに伴って、カソード周辺の電極、アノード、絶縁管、真空槽、加速管、高電圧導入部フィードスルー等の改造を合わせて実施した。2)電子銃部ソレノイド磁場の強さを冷却部ソレノイド磁場(0.35kG)の100倍(3.5T)にするために超伝導ソレノイドコイルおよび常伝導補正コイルを製作した。この超伝導コイルは液体ヘリュウムを使用しない直冷式で、これによって装置の小型化と簡便な運転方法が実現した。今年度で装置を完成し、ビーム貯蔵リングTARNIIに組み込み実験を開始した。この分野の国際競争は激しいので、超低温電子ビームを応用した原子物理の実験から始めた。その結果、電子温度が約1meVという世界最高の分解能が達成されたことが明らかになった。
|