研究分担者 |
宇田 豊 (株)ニコン, 生産技術本部, 生産技術開発課長
井澤 義明 東北大学, 工学部, 助手 (00143016)
張 世宙 東北大学, 工学部, 助手 (30282099)
高 偉 東北大学, 工学部, 講師 (70270816)
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研究概要 |
サブナノメートルの変位,形状測定機の自律絶対校正システムの構築を目的に研究を進めた.サブナノメートルの精度を要求する測定では測定器の線形誤差を頻繁に校正する必要があり,多くの場合測定場所に据え付けてからその場で校正することが要求されている.本年度はまずこれらの要求に応えられるその場自律校正法を提案した.この方法は外部の基準だけでなく,余分なスペースや付加的な器具もほとんど用いないで,測定機の測定データだけからその線形誤差を自律的に校正できる.その原理は,多くのサブナノメートルの変位,形状測定機の入出力特性がほとんど線形関係にあるということを利用するものである.この方法では,校正のための入力変位には,校正範囲になるべく均等に配分されていることだけが要求され,既知であることも,正確に等間隔であることも要求されない.各測定点と一定の微小変位を離れた点の出力データを元に,自律演算処理を行う.この一定の微小変位と測定機の平均感度の一方が正確に分かっていれば他方が計算で求められる.提案したその場自律校正法の妥当性と精度の限界を,計算機シミュレーションで調べた.その結果,測定機の分解能の2倍程度の最大誤差でその線形誤差を校正できることが明らかになった.また,系統的な変位入力の偏りがある場合にも,その偏りを補正することができ,その補正を加えると入力の偏りの影響は受けないことも確認された. この自律校正法をそれぞれ,高精度容量型変位計,自作の干渉変位計,原子間力顕微鏡,干渉顕微鏡の校正に適用した.校正結果の繰り返し性と,再現性から,提案の方法の高い信頼性が確認された. しかし,測定データの繰り返し性が校正結果にどのように影響するかなどは検討中である.また,平均感度の校正も含めた絶対校正の導入や,それぞれ絶対校正された測定器によるクロスチェックの実験は次年度の課題となる.
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