研究概要 |
これまでに発表されているパソコン用の各種ビジネスゲームについて調査し,ゲームの複雑さや習得に関する難易度を明らかにした.これにより,現状のゲームは,複雑化しすぎている傾向があり,大学教育にこれらを用いると,ゲームの習得そのものに時間を消費しかねないことを指摘した. この上で,本研究では,小売に関するマルチメディアビジネスゲームの開発を試みた.平成8年度は,小売業内部における役割を社長,営業部,財務部,仕入部,人事部とに大別し,ゲーム上での各部門の役割を明確にし,営業部,財務部,仕入部,人事部のそれぞれにおける戦略を設計した.システム上では,代表的な商圏モデルであるHuff型モデルをもとに,各小売が有する潜在的顧客吸引力を初めに決定した上で,それぞれの戦略による影響を表現しようとしており,その一部が完成している.残りの部分も,平成9年度前半には完成する予定である. また,上のシステム開発と同時並行して,仕入部が担当する仕入れ計画や在庫管理のみに焦点を絞ったマルチメディアビジネスゲームを2種類開発した.これらは,耐久消費財を対象とした在庫管理の方法を習得するためのゲームと,弁当のように製品有効寿命が非常に短い消費財を対象とした仕入れ計画を立案するためのゲームを開発した.これらの2種類のビジネスゲームは,平成9年度からそれぞれ単独で授業に導入し,その効果に関する検討を開始する. なお,上述のシステムはすべて,MicrosoftのWindows95またはWindowsNT上で動作する.
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