研究課題/領域番号 |
08554002
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
清水 裕彦 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 研究員 (50249900)
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研究分担者 |
高田 進 埼玉大学, 工学部, 教授 (80282424)
前畑 京介 九州大学, 工学部, 助教授 (30190317)
石橋 健二 九州大学, 工学部, 教授 (00159766)
加藤 博 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 専任技師(研究職)
松岡 勝 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 主任研究員 (30013668)
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キーワード | 超伝導トンネル接合素子 / X線検出器 / 低温計測 |
研究概要 |
本研究では超伝導トンネル接合素子のX線に対する応答を多数の素子について測定することによって、素子の製作条件と素子の最終的な性能の間の相関について研究を行なうことを最終的な目的としている。昨年度の素子設計をさらに改良しさらなる素子構造の改良、試作及び素子評価を行った。素子はNb/Al-AlO_x/Nbの構造を持つものから始めた。基板からのフォノンの影響を抑制するためにこれまで用いられてきたMgOに代わり、Al203を用いた素子の作成及び素子評価を行い、最適の厚みを決定した。これによりフォノンの影響は十分に抑制する事ができた。さらにより信号レベルが高く安定な動作を実現できるAlの準粒子トラップ層を加えた作成技術の研究を行い、Nb/Al/AlO_x/Al/Nbの構造の素子を作成し、X線信号を捕らえる事に成功した。エネルギー分解能は常温の前置増幅器を用いた結果ではlOOeV程度以下で、安定した性能を示している。これまでに開発してきた低温動作の電荷増幅型前置増幅器及び超伝導量子干渉素子を用いたシステムは性能評価を終え、超伝導トンネル接合素子との接続も完了した。総合的な性能測定の結果は現在順次蓄積されており、データ解析の段階に入っている。また作成時における素子性能の再現性はNb/Al/AlO_x/Al/Nb型の接合についてもデータ解析中であり、研究期間終了までには十分なデータの蓄積が行われる予定である。さらに、より実用に近いTa系の超伝導トンネル接合素子の基礎データも得られてきており、これらのデータは実用を念頭においた現実的な設計にとって十分な情報を与えるものである。結論として、基礎研究を終了し実用に向けての最適化を開始できる状態になった。
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