研究概要 |
超流動液体ヘリウム中の不純物イオンや原子の特異な振舞を研究するため,大阪大学においてクライオスタットを試作した.このクライオスタットは通常の型と異り超流動ヘリウム容器がL型になっていて,静磁場のもとで磁場の方向に関するβ線放出の非対称性が測定できるようになっている.超流動ヘリウム中でスノ-ボールを移動させるための静電場用の電極と,芯となる不安定核の核磁気共鳴を観測するための装置を備えている.また搬送されたイオンを液体ヘリウム面からとり出し収集電極に集め放射線計測を行うことができる. これらの方法を1.2K以下の超流動ヘリウム中に適合させ,持続して実験ができるようなヘリウムクライオスタット系に作仕上げることが平成8年度の目標であるが,そのため基本となるヘリウム貯槽とL型の低温部を購入し,本研究班で窓付きの超流動ヘリウムチェンバーを試作試験して,クライオスタットを完成近くまでこぎつけた.ヘリウムの消費量を押さえ,長時間の使用にたえるかの実用試験中である.そのため温度コントローラーを整備中である.実験研究はクライオスタットが完成して,その最適化を図ったあと実行することになる.この装置は大阪大学核物理研究センターのリングサイクロトロンENコースや理化学研究所のリングサイクロトロンのRIPSで共同利用実験として役立てることを想定している.検出器系のテストも京都大学理学研究科のタンデム加速器を用いて実行した. 今年度は海外での国際会議に呼ばれこの研究に関する講演を行うとともに,来日した外国人研究者の協力を得て,新しい方向での研究を行うことができた.
|