本年度は装置の購入、据えつけ、試運転などに大部分の時間を費やしたため、報告するべき実績はほとんどあがっていない。 導波路型非線形結晶とファイバーとを効率よく結合させるには、μm以下の精度で位置を正確に合わせなければならない。その目的のために、空気バネで床から伝わる振動を防ぐ高性能な除振台、精密位置決め装置などを導入した。また、光源としては半導体レーザーを用いる。1.55μm帯で線幅が狭く周波数可変のレーザー装置の製作を開始しした。まず、市販のチップキャリヤ-型のレーザーの出力端を減反射コートし、グレーティングを用いた外部共振器を製作した。これにより、線幅を1MHz以下に狭めることができ、グレーティングの角度を電歪素子で微調整することにより波長を掃引することができる。また、レーザー光とファイバーとを結合する際、レーザーへの戻り光の影響が、システム全体の不安定さを決定する。この効果を軽減するために、アイソレーターの挿入、ファイバー端面を斜めにカットするあるいは減反射コートを施すなど、様々な工夫を考えている。 以上のように本年度は主に光源開発、測定機器の整備などを行った。来年度から導波路型非線形を用いた本格的な実験にとりかかる予定である。
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