本年度は光源開発として、市販の1.55μm帯チップキャリヤ-型のレーザーの出力端を減反射コートし、グレーティングを用いた外部共振器を製作した。これにより、線幅を1MHz以下に狭めることができ、グレーティングの角度を電歪素子で微調整することにより波長を掃引した。また、レーザー光とファイバーとの結合を効率的に行うために、非球面レンズやアイソレーターなどを安定にかつ微調整できるようなマウントを設計製作し、高効率で安定な光学系を実現した。これらにより、ファイバー出力端でほぼ5mWの出力を得、約60%の伝達効率を実現した。出力安定度も1%以下を実現しており、十分に実用に耐えうるレーザー装置が完成した。また、ファイバーと導波路型非線形結晶とを効率よく結合させるための精密位置決め装置を準備し、二倍波発生などの予備的な実験を開始した。 さらに、1.55μm帯における高感度検出器の調査を行った。理想的には量子効率が1に近く、光子計数が可能な検出器がよい。市販品にはこの条件を満たす検出器が存在しないため自作するしかない。たとえば、ゲルマニウム・アバランシェ・フォトダイオードをガイガ-モードで使用することを考えている。このためには、液体窒素温度程度にまで検出器を冷却する必要もある。現在、液体窒素溜め及び電源などの設計を行っている。 来年度から導波路型非線形を用いたツインビーム発生の本格的な実験にとりかかる予定である。
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