原始太陽系星雲における核生成シミュレーション装置の開発

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08554016
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 山本 哲生 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10126196)
• 研究分担者: 阿部 勉 株式会社タナカ技術部(研究職), 次長 ; 渡部 直樹 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50271531) ; 石渡 正樹 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (90271692)
• キーワード: 太陽系 / 固体核凝縮 / 核生成 / クラスター / 飛行時間型質量分析計 / 分子ビーム / 超高真空 / 超音速ジェット

研究概要

原始太陽系星雲で生じた固体核凝縮の機構とその太陽系物質進化に果たした役割を明らかにするために、単純な分子から高分子クラスターを経て非平衡均質核生成に至る過程を再現する実験装置の開発を進めた。具体的には、核生成と凝縮反応を定量的に研究する目的で、凝縮すべきガス種を温度と流量を予め制御した分子ビームとして高真空容器内に導入し、これらを別の分子ポートからパルス状に射出した環境ガスと交又させることによって、真空容器内の局所でクラスター生成の条件を達成させる。本年度は、研究実施計画に従い、つぎの項目において進展があった。
(1)クラスター生成に必要な清浄な環境を可能にする、超高真空排気装置を設計・製作した。現在、排気口の振動防止システムを製作中である。
(2)高温混合気体を1ミリ秒以下の極小パルスに形成するためのミリパルス・ガス噴出装置の開発を進めた。既存の燃料噴出装置を超高真空・超高温仕様に改良するための材料試験を行っている。
(3)多重衝突によって生成する高分子クラスターをその場観測するための、飛行時間型質量分析計の開発を行った。その結果、比較的低速の分子の質量分折には問題のないことが明らかとなったが、超音速ジェット流についてはまだ解決すべき問題が残されている。
4)平成8年度設備備品費にて購入したパルス型エキシマレーザーの発信テストを行った。その結果、全体としてのエネルギー量は少ないが、集光レンズを用いて局所的に必要なエネルギーフラックスが得られることを確認した。
(5)上記の各設計に伴い要求される、高速コンパイル型のソフトウェアの開発を行った。

研究成果

• [文献書誌] Yamamoto,T.: "Are Edgeworth-Kuiper Belt Objects pristine?" Science. 273. 921-921 (1996)
• [文献書誌] Yamamoto,T.: "Crystallization of amorphous silicate in cometary dust." Proc.ISAS Lunar and Planet.Symp.29. 252-253 (1996)
• [文献書誌] Ishiwatari,M.: "The long term integration of the runaway greenhouse effect." Proc.ISAS Lunar and Planet.Symp.29. 189-192 (1996)
• [文献書誌] Kravis,S.D.: "Feasibility of Photoionization of Multi-charged ions" Physica Scripta. T71. 121-126 (1997)
• [文献書誌] Watanabe,N.: "Fixed-molecule lss(g,u)photoelectron angular distributions" Physical Review Letters. 78. 4910-4913 (1997)
• [文献書誌] Hosaka,M.: "Tropical precipitation patterns in the response to a local warm SST" J.of Meteor.Soc.of Japan. 76(in press). (1998)
• [文献書誌] Yamamoto,T.: "Lecture Note for International School of Space Chemistry" Kluwer Academic Publishers(in press), (1998)
• [文献書誌] Sirono,S.: "Formation and Evolution of Solids in Space" Kluwer Academic Publishers(in press), (1998)