研究課題/領域番号 |
08554026
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
福田 豊 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (30021950)
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研究分担者 |
山田 真二 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (30183122)
佐藤 倫子 東芝, 開発センター, 研究主務
内田 文生 富士化学, ハウトホーム部, 部長
西出 利一 日本大学, 工学部, 助教授
水上 富士夫 工業技術院, 物質工学工業技術研究所, 総合企画調査官
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キーワード | 機能性錯体 / クロモトロピズム / ソルバトクロミズム / サーモクロミズム / テトラゲン / 磁気性特性 / 混合配位子錯体 / 酸化還元反応 |
研究概要 |
前年度に引き継ぎ、機能性の高い金属錯体の新規合成とそのキャラクタリゼーションを中心に研究を進めている。本年度の成果としては、2核錯体や3核錯体を多核錯体構築のためのbuilding brockを見い出された(パラジウム-テトラケトナト、混合配位子錯体の生成要因についてある種の経験則が用いて合成できたこと、錯体のクロモトロピズムとして、サーモクロミズム、ソルバトクロミズム等を示す金属錯体が合成できたことなどである。酸化還元触媒能のある多核金属錯体の構築を目指して、今までに報告のある系、マンガン-Trimethyl-triazacyclononane系が知られているのでそれを見習って、配位子が飽和のFacial型トリアミンとなっているものを合成することも試みた。このfac-強制3座配位子をいくつか合成してその金属錯体の組成、構造等の検討を行った。結果としてはしかしながら予想した多核錯体にはならず、単核5-あるいは6-配位錯体となった。特に過酸化物を取り込んだ錯体は得られず、酸化触媒としては働かなかった。次に、スピンクロスオーバ現象を示す種々の錯体を合成しその構造や磁気的挙動を調べた。ビス(ベンツイミダゾリル)ピリジンを配位した鉄(II)錯体の挙動は興味深い。アルカリ性を高くすることにより脱プロトン化した配位子となり、無電荷錯体を生成するが、結晶中での構造は2次元的超分子を形成し、極低温において半強磁性相互作用がみられたが、これは今までに報告例のない興味あるものである(現在、論文作成中)。そのほか同様の特性をもつと考えられる複核スピンクロスオーバ錯体も合成し、その固体および溶液中での磁気特性を検討した。用いた配位子はシッフ塩基5座配位子であり、架橋配位子が、4,4^1-bipyridineであることにも依るが、特に強い磁気的相互作用が見られない。さらに、どこまで高次の混合配位子錯体になるかという問題を明らかにすべく希土類混合配位子錯体を合成(この問題については単核であるが)し、4元系や5元系の今まで見られなかった高いキレート性混合配位子系を構築することが出来た(これについても論文を準備中)。
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