研究課題/領域番号 |
08554035
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
岩槻 邦男 立教大学, 理学部, 教授 (10025348)
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研究分担者 |
長谷部 光泰 国立岡崎研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40237996)
加藤 雅啓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20093221)
村上 哲明 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60192770)
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キーワード | 渓流汾(植物) / 細葉 / 適応 / 種子植物 / ムニンノボタン / 小笠原諸島 / 種子 / 水分条件 |
研究概要 |
1.降雨後の増水によって急流中に水没する川岸の岩上に生える渓流沿い植物は特殊環境に適応しているため、絶滅の恐れがある植物である。屋久島に固有のヤクシマダイモンジソウは渓流沿い植物の1つである。台風接近中などの増水時に野外調査の結果、渓流沿い植物に特徴的な、水流抵抗の小さい細葉をもった個体の方が広葉個体よりも残存率がはるかに高いことが分かり、細葉が適応形態であることを確かめた。細葉個体と広葉個体の成長率を比較したところ、細葉個体の方が低いことが示され、そのため通常の陸上では競争に勝てないことが示唆された。交雑による分離実験から、細葉と広葉の葉形は1遺伝子によって決められていると推定された。 2.細葉をもつ渓流沿い種子植物と広葉をもちそれに近縁と考えられる陸上植物の比較解剖学的研究を行い、細葉は広葉に比べて葉身の細胞数が少ないことが分かり、広葉から細葉への道化は細胞数の減少を伴っていると示唆された。 3.ムニンノボタンは小笠原諸島(父島)の固有種で、典型的な絶滅危惧植物の1つである。ムニンノボタンとハハジマノボタンについて、動物による果実の摂取野外調査と、種子の発芽実験を行ったところハハジマノボタンの果実はハハジマメグロによって食べられるが、ムニンノボタンは食餌跡がみられないことが分かった。また、閉じた果実に中にある種子は発芽が悪く、種子だけの方が良く発芽した。このことから、父島からメグロが絶滅して果実が食べられなくなったことがムニンノボタンの衰退に関係していると示唆された。成熟したムニンノボタンは明るい日照地を好む植物であるが、比較育成実験によって幼苗期では半日陰で水分条件の良い場所が適していることが分かった。
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