研究課題/領域番号 |
08554035
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
岩槻 邦男 立教大学, 理学部, 教授 (10025348)
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研究分担者 |
長谷部 光泰 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40237996)
加藤 雅啓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20093221)
村上 哲明 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60192770)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | カエデ属 / 分子系統 / 多様性 / 絶滅 / 保全 / ドクウツギ属 / キヌフラスコモ / カワゴケソウ / イノモトソウ |
研究概要 |
植物の種多様性の滅失と保全について以下の研究を行った。 1. 植物の遺伝的多様性の滅失と保全を考える上で、植物の実際の移動能力を調べることが重要である。散布能力が高く、遺伝子流動は非常に大きいと考えられてきたシダ類のイノモトソウの集団内遺伝構造を電気泳動法で解析した結果、シダ類の胞子による散布が非常に制限されうることが示唆された。 2. 世界各地で絶滅が心配されている河川の水生植物で形態が特殊化したカワゴケソウ科の形態進化に関する基礎研究を行った。Malaccotristicha malayanaの形態学的観察を行った結果、匍匐する扁平な植物体本体は根と同様、非対称な根冠をもち,側軸が維管束付近から内生的に発生することなどを確かめた。この形態は科の中で原始的とされるTristicha trifariaなどの形態と基本的には同じであり、それらよりも特殊化が進んでいると判断された。 3. 日本からは絶滅したと考えられていたキヌフラスコモ(車軸藻類)が最近芦ノ湖(神奈川県)で再発見された。本種の分類上の位置を確かめるために、卵胞子の表面構造を観察したところ、日本の固有種であるとする説を支持した。現在人工培養などで保存を図っている。 4. ドクウツギ属の分子系統学的研究を行った。得られた系統樹から、この属の隔離分布が大陸移動によるとする説を支持せず,第三紀末期の移動・分断による結果であることが示唆された. 5. カエデ属Acerは化石記録から歴史上、種分化と絶滅の繰り返しによって現在の種群が形成されてきたと考えられる。種の絶滅過程を推定する基礎データとして、カエデ属の種間分子系統樹と色素体DNAの進化速度を推定した。東アジアと北米に隔離分布する姉妹種は中新世後期に分岐し、東アジアと北米フロラの類似は複数回の両地域間の種群の拡散、分断、絶滅によって引き起こされたことがわかった。
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