研究課題/領域番号 |
08555003
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前田 康二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10107443)
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研究分担者 |
長村 俊彦 (株)ユニソク, 科学機器開発研究所, 所長
目良 裕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40219960)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | DLTS / 顕微鏡 / 非接触 / 表面光起電力 / 深い準位 / STM / 過渡応答 / ナノ |
研究概要 |
表面下の空乏層内にディープレベルトラップが存在すると、表面光起電力(SPV)の減衰に遅れが生じることに着目し、断続的光照射にともなう走査トンネル顕微鏡(STM)のトンネル電流の過渡応答を測定することによって、非接触でかつ極めて高い分解能をもってディープレベルセンターを検出することのできるSTM-DLTS顕微鏡とも呼ぶべき装置の開発を行った。その結果 1. GaAs試料を用いて大気中で予備実験を行い、光DLTSと同様な温度スペクトルが得られること、またDLTS信号の試料面内分布が数十nmの空間分解能で観察可能なことを明らかにした。 2. 理論的考察により、STM-DLTSの空間分解能は、表面下トラップに捕獲されたキャリアの電荷による表面ポテンシャルで決まり、静電遮蔽が無い場合は深さの3倍、表面蓄積層の形成による2次元電子ガスの遮蔽効果がある場合は深さの1.4倍程度となることが明らかになった。 3. 熱膨張による探針ー試料の相対的変位を回避するため、等温過渡応答法による測定を試みた結果、トラップが探針直下にあるときは、トラップに由来する過渡応答成分を信頼性高く抽出可能であることが分かった。しかし、システム由来の特に電流制御フィードバックによる見かけの効果を避けるために、フィードバックに頼らなくても探針ー試料の位置関係が安定に保たれるようなSTMユニット(熱シフトフリーステージ)の開発と、電流プリアンプの広帯域化が必要であることが分かった。 4. 独自のデザインにもとづく熱シフトフリーSTMステージを試作し、その性能を実験的に評価した結果、従来のステージより熱ドリフトが2桁、熱シフトが1/200小さいことが明らかになった。 5. 光照射に伴う探針の熱膨張によるみかけのSPVの過渡応答成分は、測定時定数域を0.1ms以下とすれば無視できることをGaAs試料を用いて明らかにした。 6. ゲイン10^8V/A,帯域100kHzの広帯域電流プリアンプの試作を行い、所定の性能を得た。 以上により、STM-DLTS顕微鏡としての基本性能の確認と、ナノ構造体研究への応用実用化のめどを付けた。
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