研究課題/領域番号 |
08555016
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菊田 惺志 東京大学, 工学系研究科, 教授 (00010934)
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研究分担者 |
中山 貫 通産省工業技術院計量研究所, 首席研究官
依田 芳卓 東京大学, 工学系研究科, 助手 (90240366)
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キーワード | X線回折 / X線光学 / モノクロメーター / 単色性 / 非対称反射 / シリコン結晶 / 動力学的回折理論 |
研究概要 |
放射光利用研究はこれまで放射光の大強度、高指向性、偏光性、パルス性などの優れた特性を生かして多くの成果を挙げている。これから将来に向けての発展の方向のひとつは、単色性の極めて高い、時間コヒーレンスのよいX線ビームを用いた回折・散乱・干渉の研究である。本研究ではシリコン単結晶における非対称反射の動力学的回折現象を利用して、従来のモノクロメーターの限界を超えた単色化を実現することを目的としている。 エネルギーが14.4keVでバンド幅が約100μeVのX線ビームが得られるモノクロメーターを設計、試作した。14.4keVのエネルギーを選んだのは、それが^<57>Feのメスバウアー準位の共鳴エネルギーであり、バンド幅の評価に核共鳴散乱を利用できるからである。FZ法で成長させた完全性の高いシリコン結晶を用いて、視斜角2°の844非対称反射を2回(+、-)非分散型配置で繰り返したあと、それと逆に出射角が2°の844非対称反射を2回(+、-)非分散配置で繰り返すものを(+、+)分散型配置とし、全体として(+、-、-、+)配置となるように構成した。この超狭バンド幅X線モノクロメーターは高エネルギー物理学研究所の放射光施設を利用して性能試験を行った。^<57>Fe_2O_3結晶の777核共鳴ブラッグ散乱を用いた評価では目標値には到達しなかった。これは用いたシリコン結晶が10^<-7>のオーダーの極微小な格子歪みをもっていることに起因していることがわかった。そこでこれからの課題としてさらに完全性の高いシリコン結晶を入手するか、あるいは結晶の場所的な微小格子歪みの影響を少なくするために回折強度を若干犠牲にして小型のサイズにすることが考えられる。
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