研究概要 |
本研究は、磁気ひずみ測定法の飛躍的発展とその実用化を狙って,これに不可欠なひずみ-透磁率関係の定量評価方法を確立し,これを踏まえてひずみの三次元分布計測を実現することを目的としたものである。本年度は,基礎となる以下の研究を実施した。 1.外部磁束密度の高感度計測のためのセンサー最適位置に関する検討 平板状試験片を対象として,その表面に近接して励磁用電磁石を設置し,励磁用電磁石の横で試験片表面に垂直なる方向の空気中における磁束密度(外部磁束密度)を計測し,さらに試験片裏面近傍で裏側に沿った方向の外部磁束密度を計測すれば,前者の後者に対する比は応力に対して高感度に応答することを確認した。 2.ひずみによる外部磁束密度変化と励磁周波数の関係の計測 強磁性体である超強力鋼を実験に供し,一軸引張による外部磁束密度変化と励磁周波数の関係を初透磁率範囲内で計測により求めた。0〜200MPaなる弾性限内の応力に対し,上記の外部磁束密度の比は0〜200Hzの周波数範囲においては周波数の増加に伴い増加し,200Hz以上においては減少することを見出した。 3.ひずみ-透磁率関係モデル化と基本決定 はじめに無負荷時を対象として,初透磁率を磁束密度の一次関数で表したモデルを導入した。同関係は未定係数を含む。次に一軸引張負荷時を対象にこれを展開し,無負荷時の値にひずみの一次関数を掛けた形で初透磁率を表現した。ここにひずみの一次関数にも未定係数を含む。本モデルによる数値解析を計測結果と照合し,未定係数と励磁周波数との関係を解明した。
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