研究概要 |
本研究は,磁気ひずみ測定法の飛躍的発展とその実用化を狙って,これに不可欠なひずみ-透磁率関係の定量評価方法を確立し,これを踏まえてひずみの三次元分布計測を実現することを目的としたものである。本年度は,昨年度までの実績を踏まえ以下の研究を実施した。 1. 多重周波数の励磁に対する外部磁束密度の応答把握の充実 多重周波数で励磁することにより深さ方向の情報を捉えることを狙って,種々の応力状態における外部磁束密度の応答について検討した。 2. ひずみ分布評価手順の具体化と検証 ひずみ分布が未知なる現場の構造物において,ひずみの三次元分布を評価する際に不可欠な計算プログラムについて,辺要素を用いた三次元非線形有限要素法に基づく検討を行った。また現場における計測手順に関連し,励磁電磁石のリフトオフ誤差が計測値に及ぼす影響について検討した。その結果,同誤差の影響はセンサの位置決め誤差の影響に対して比較的大きく,現場における高精度計測のためには,被検査体に対する電磁石の設置精度の確保が重要であることを明らかにした。 3. 本評価法の利点の実証 本評価法の利点を明確化するため,適用範囲等に関して,既存の代表的ひずみ測定手法であるX線ひずみ測定法,音弾性ひずみ測定法との比較・検討を行った。 4. 外部磁束密度の高感度計測のためのセンサ最適位置に関する検討の充実 センサの最適位置に関する検討のなかで,これまで未検討のまま残されていた励磁電磁石の磁極直下の空間について検討し,同空間ではセンサの位置決め誤差の影響は小さいが,応力の変化に対する感度はあまり大きくないことを明らかにした。これを昨年度までに得られた結果と総合することにより,最適なセンサ位置を明らかにした。
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