研究概要 |
本年度はまず,パイプライン,油井管,建設用鋼管抗などの長大な地中埋設構造物を土壌腐食から守るカソード防食の最適化を行うための境界要素プログラムを作成した.すなわち,カソード防食用電極の最適配置および最適防食電流決定用プログラムを作成した.この最適化において,長大な地中埋設構造物が複雑に変化する地盤にまたがることを考慮して,昨年度に開発した電気伝導度が(空間的に)直線的に変化する場合の支配方程式の基本解を用いるとともに,電気伝導度の変化に応じた分極特性の連続的変化を境界代数方程式系の係数行列の中に組み入れた.また,構造物が長大になると構造物自身の電気抵抗も無視できなくなるので,この影響も考慮できるようにした.地盤全体をいくつかの部分領域に分割し,各領域の中で上述の工夫を施しこれらの部分領域を連結して地盤全体に対する解を得るという手順を採用した.この結果を機会学会において講演発表し,材料と環境誌に論文として投稿して掲載決定の通知を得た.また,1998年度の圧力容器および配管に関する国際会議に発表申し込みを行い,発表決定の通知を得た. つぎに,上述の長大な地中埋設構造物が直接電気的に連結されていないが,土壌を介してお互いに干渉する場合に対処するために,従来の境界要素法の定式化に従わない新しい方法により,効率的解析が可能な非軸対称パイプ要素を開発した.近々機械学会において講演発表した後,適当な学会誌に論文発表する予定である.さらに,複雑で巨大なパイプライン網の全体を解析するのは,膨大な計算時間を要し事実上解析不可能となるので,これに対処するために高速多重極展開法を適用するための研究を行った.一応の結果が得られたが,さらに効率を上げる工夫をした後,学会発表する予定である.
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