研究概要 |
本研究では,50MHz以下の短パルス波を用いて水浸集束型超音波センサーを励起し,固体内部欠陥あるいは微視構造からの散乱波あるいは時間領域での各種表面波信号をデジタル収録し,それらにデジタル信号処理を施して,固体内部の微細欠陥・構造の解明,ならびに表面波速度・減衰を用いて表面層の特性評価及び応力を測定することを目的とする.平成10年度の研究で得られた主な知見を以下に示す. 1 セラミックス内部に存在する集束超音波ビーム径の数分の1以下の微小空孔からの散乱波強度を,その深さでの無限平面からの反射強度で無次元化することにより,直径50μmの空孔の寸法を測定する方法を確立した. 2 低周波超音波顕微鏡を用いて,高速衝撃によってS45C炭素鋼及び純鉄内に発生したスポール損傷(S45Cでは長さ10-200μmき裂,純鉄ではボイド)の最大3回までの繰り返し衝撃による変化を非破壊的に観察し,後続の衝撃応力が大きくなるとそれらが成長し,逆の場合にはき裂開口量が減少することを明らかにした. 3 線集束型表面波センサーを用いて,漏洩レーリー波の減衰に及ぼす表面粗さの影響を解析し,アルミニウム合金表面を#1500の研磨紙で研磨すれば鏡面とほぼ同一の減衰が得られることを明らかにした. 4 動的有限要素法により漏洩表面波の減衰に及ぼす表面粗さの影響を解析し,上記実験結果と対応する結果を得た. 5 線集束型表面波センサーを用いて,Ni/Al_2O_3傾斜機能セラミックスの表面波速度及び板厚方向に伝搬する縦波速度を測定し,位置(1mm毎)による弾性係数の変化を測定した.
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