研究分担者 |
中山 義則 (株)日立製作所 中央研究所, 主任研究員
宇田 豊 (株)ニコン 生産技術本部, 課長
明田川 正人 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (10231854)
田辺 郁男 長岡技術科学大学, 工作センター, 助教授 (30155189)
柳 和久 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80108216)
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研究概要 |
無応力状態の結晶格子表面の格子間隔は約0.2nmで安定しており,これは普遍的な長さ基準になりうる.また,走査型トンネル顕微鏡(STM)は,実時間大気中で原子像を捉えることのできる顕微鏡である.そこで,結晶格子間隔そのものをスケールとし,STMを検出器として組み合わせれば,サブnmオーダの分解能をもつリニアスケールが製作可能である.本研究ではこのリニアスケールの開発と格子間隔を基準とした数値制御加工機の可能性追究のために以下の事項を試みた. (1)熱ドリフトフリーSTMの開発と恒温セルの試作 極低熱膨張ガラスセラミクス(線膨張率0.3×10-7K-1)を構造部材とするSTMと恒温水を用いたアクティブ型恒温セルを試作した.セル内の温度変動を0.05℃以下とすることに成功し,この中にSTMをおいたときの熱ドリフト速度は従来に比べてに1/100に減少し,1nm/h以下となった. (2)結晶格子スケールと回析格子との比較 従来型の走査法を変更し,測定軸と走査のFAST軸を一致させ,走査範囲を1.3μmまで拡大して光波干渉計で校正された回折格子のピッチ測定をHOPG結晶格子間隔を基に行った.光波干渉計の検定値(240nm)とHOPG結晶格子間隔を基準とする測定値は1%以内の誤差で一致した. (3)STM探針の原子頂点への静止制御のための基礎検討 STM探針の高速ディザ-走査とロックイン検波法を用いて結晶格子像のXY軸の微分像を得,それを基に位置決めを行う方式の検討を行い,ロックイン検波法でのS/N比の向上を図った.
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