研究分担者 |
中山 義則 (株)日立製作所, 中央研究所, 主任研究員
宇田 豊 (株)ニコン, 生産技術本部, 課長
田辺 郁男 長岡技術科学大学, 工作センター, 助教授 (30155189)
柳 和久 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80108216)
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研究概要 |
無応力状態の結晶格子表面の格子間隔は約0.2nmで安定しており,これは普遍的な長さ基準になりうる.また,走査型トンネル顕微鏡(STM)は,実時間大気中で原子像を捉えることのできる顕微鏡である.そこで,結晶格子間隔そのものをスケールとし,STMを検出器として組み合わせれば,サブnmオーダの分解能をもつリニアスケールが製作可能である.本研究ではこのリニアスケールの開発と格子間隔を基準とした数値制御加工機の可能性追求のために以下の事項を試みた. (1)極低熱膨張ガラスセラミクスを用いたSTMの改良と5mum超比較測長の可能性確認 極低熱膨張ガラスセラミクス(線膨張率0.3×10-7K-1)を構造部材とするSTMを試作・改良した.昨年度試作した内部の温度変動が0.05℃以下と出来る恒温セル,このSTMをおいたときの熱ドリフト速度は0.5nm/h以下となった.これらの装置を組合せ,測定軸と走査のFAST軸を一致させる走査法で,5mum超の原子像を取得することに成功し,このレベルまで結晶格子間隔を基準とする比較測長が可能なことを確認した. (2)STM探針の結晶表面の原子配列を目標とする静止・運動制御 STM探針の高速ディザ-変調とロックイン検波法を用いて結晶格子像のXY軸方向の傾斜信号を得,それを基に原子配列を目標にSTM探針の位置決めを行う方式の実験を行った.XY軸方向の傾斜信号を同時に検出し,それらが同時に0となるようにSTM探針を制御し,結果としてSTM探針を原子頂点へ静止制御させることに成功した.またXY軸方向の傾斜信号を実時間で組み合わせ,特定の結晶配列に沿ってSTM探針を往復運動させる制御にも成功した.以上の実験を基に少なくとも5mumまで結晶格子を基準とする測長と位置決めの可能性を確認した.
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