微小な機能要素を集積化したマイクロマシンに対する期待が高まっている。今後、部品素材そのものに高い機能を付加することで、省スペース化や飛躍的な部品機能の高度化が期待できることから、材料を考慮した新しいコンセプトに基づく微細加工法の開発が望まれる。そこで本研究では、光放射圧で微粒子を操作し、各種微粒子の組立てにより機能性材料を形成しつつ、3次元微小構造物を創製していく新しい技術の確立を目指している。本年度は以下の1〜3を行い、多くの貴重な知見が得られた。 1. 3次元構造物の組立装置の製作:既存のレーザトラッピング装置を改良し3次元組立装置を製作した。 (1)集光・観察部:実験中の観察を容易にするため顕微鏡テレビ装置を設置した。 (2)組立部:顕微鏡下の組立部にはコンピュータ制御されたX-Y-Zテーブルを組み込んだ。 (3)配列装置:粒子を複数同時に配列させたり、独立に操作するシステムを構築した。内容は、レーザ光線を分岐し光スキャナー、光ファイバーで2〜3光線を操作できるシステムである。 (4)偏光、波長の効果を調査するために、円偏光装置、高調波変換器を付加した。 2. 光放射圧による微粒子の捕捉実験 (1)媒体と粒子の屈折率差の影響を調査し、捕捉可能粒子を判定した。 (2)空中での捕捉が可能であることが判明した。 (3)粒子の形状は不規則形状でも捕捉可能であることが分かった。 (4)Q-swを利用すれば連続発振時の1/10の出力で安定して捕捉できることが分かった。 (5)配列パターンを高速に自動形成するシステムを構築できた。 3. 組立実験:空中で微粒子の3次元組立に成功した。接着は表面張力でも可能であるが、強力に接着する方法として、高分子接着剤を用いることを試み、組立作業時に接着できる組立固定法を構築できた。
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