a)非球面超音波レンズの設計、製作 焦点距離の短い超音波対物レンズを使用すること、対物レンズと4分割超音波受信子間の距離を長くすることが分解能の向上に最も効果的である。このため、本年度の研究では短焦点距離の非球面超音波レンズの設計、製作を行い、それを用いたサブミクロンの測定分解能達成を目指した。アクリル樹脂製の焦点距離5mm及び10mmのレンズを設計し、超精密旋盤による切削加工により製作した。 b)超音波ハーフミラーに関する解析、ならびに最適材質の選定 本測定法を実現するに当たっては、超音波の波面を直交2方向に分割する超音波用ハーフミラーが必要である。反射と透過の比率が等しく、ハーフミラー内での減衰の小さな材料が理想であり、この条件になるべく近い特性の材料を選定する必要がある。これまでにアクリル樹脂板、銅板、アルミニウム板、比重の大きい鉛ガラス板などについて実験を行い、特性ならびに水中での腐食、性能劣化も考慮し、現状ではアクリル樹脂板が最も良い特性を示すことを明らかにした。しかし、特性は十分に高いとはいえない。したがって、音響理論による種々の物体に対する超音波の斜め入射特性に関する計算、実験を引き続き行い、より高い特性を示す材質の選定を行う必要がある。 c)分解能及び線形範囲の測定 製作した超音波非球面レンズ、ハーフミラーを組み込み、4分割型受信子、対物レンズ、円筒レンズ、ハーフミラーなどの構成要素の位置の調整が可能な組立実験装置を試作し、被測定面の変位に対する出力信号の特性(特性曲線)を求めた。本測定法の最も重要な特性である測定分解能に関しては、およそ1μmであることを明らかにした。
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