研究概要 |
石英コア振動子からの戻り光によって検出した共振周波数の変化を利用して、4種類の膜質について膜厚センシングを行った。波長830nmの励振用パルスレーザ光と波長7800mの振動検出用CWレーザ光をファイバ型光合分波器(WDM)よって合成して振動子に照射し、振動子からの戻り光の一部を用いて振動検出を行う方法である。共振周波数が5kHz程度とほぼ同じ4本の石英コア振動子(直径30μm程度、長さ2.2mm程度)を1本ずつイオンスパッタ装置内に設置し、振動子に各々Au,Ag,Mo,Crを成膜しながら共振周波数の膜厚依存性を測定した。成膜が進んでも光学系の調整を必要とすることはなく、イオンスパッタの中でも安定した共振周波数測定が可能であった。Auを成膜した場合の共振周波数の変化率が2.20Hz/nmと最大であり、Crを成膜した場合のそれは0.33Hz/nmと最小であった。さらに、密度にほとんど差のないAgとMoの変化率はいずれも0.75Hz/nmと同じ値を示した。共振周波数は膜の弾性によってはほとんど変化せず、共振周波数の変化は振動子の付加質量だけに依存すると考えられる。
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