研究概要 |
本年度は、光導波路の作製に適した材料の開発を行うととに、光導波路によって0.1ミクロン以下の記録を行う場合について,その記録状態が安定に存在しうるかどうかを計算機シミュレーションによって検討した。以下に本年度に行った研究成果をまとめる。 1)導波路用の材料としてはまず最初に,Ta_2O_5膜を選んだ。これは,Ta_2O_5膜が,SiO_2などに比べ高い屈折率を有し、導波路内へ光を閉じ込める作用が強いことが期待されるためである。Ta_2O_5膜の成膜は,高周波2極スパッタリング装置によて行った。成膜は、Ar中およびAr+O_2プラズマ中で行い,プラズマ中の酸素濃度、スパッタ圧,また,成膜温度をパラメータとした。作製した試料の構造をXRDにより,光学的な性質を分光光度計により測定した。このようなスパッタ法によりかなり透明度の高い薄膜を作製することには成功しているが、結晶性の高さや,酸素比が化学量論組成になっているかどうかなどについては,まだ,不明の点も多く,現在,検討を進めている。 2)計算機シミュレーションによってどの程度の小さな磁区が光熱磁気記録できるか、また,小さな磁区を書き込むためには磁気異方性の値やその温度特性がどのようなものであることが必要があるかなどについて検討を行った。その結果,光ビーム径を0.1ミクロンに絞ることによって0.2〜0.3ミクロンの微小磁区が書き込むことができることが明らかとなった。また,膜内の温度分布を急峻にするため,基板を含めてディスク構造の最適化が必要とされることが分かった。
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