研究概要 |
小型平面アンテナの放射パターン測定,利得測定用のコンパクトレンジを3^m×3^m×3^mの電波暗室内にてf=12GHzで実現した。送信用アンテナにはWRJ-120導波管を45本用い,その表面に電波吸収体を装荷し被測定アンテナからの反射によるVSWRの低減を図った。更にこのアンテナの前面に円形導波管による拘束レンズを装荷し,そのエッジにはピラミッド型の高性能電波吸収体を装荷した。このコンパクトレンジは現在f=12GHzにおいては振幅リップルが±1.25dB,位相リップルが±20°程度であり,被測アンテナの開口直径が50〜60cm程度のアンテナパターン測定に有用な事を確認している。本コンパクトレンジ性能改善の一つとして周波数特性の改善があげられ,種々の実験的アプローチを試みた。 本コンパクトレンジの目標動作範囲としてXバンド帯を考え,そのための実験的研究を行なった。一般に導波管スロットアレーの場合においてはスロットの間隔は設計周波数の管内波長に合わせて決定されるが,それと異なる周波数で協振された場合には波面の傾きが発生し,被測アンテナに平面波が入射しなくなる。本研究では,導波管スロットへの給電動力を十分に抑圧し周波数の変化に対して出来るだけ一様な開口分布を実現しようと試みた。一方で,周波数変化の影響による皮面の傾斜に対応するため,送信用アレーアンテナ全体を周波数に応じて傾ける方法を検討している。本手法は周波数ごとにアンテナ傾斜の必要があるため,被測アンテナの周波数掃引測定が不可能で,一見非能率にも考えられるが,振幅/位相のバランスを保つ事が比較的容易である。現在,本思想に基づくコンパクトレンジアンテナの試作中である。
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