研究概要 |
WRJ-140矩形導波管のH面スロットからの放射を利用した小型アンテナ特性測定用コンパクトレンジを構築した。本研究は大きく分けて,(1)小型電波暗室および(2)平面波発生用平面アンテナの二つより成る。(1)については発泡ポリスチロール平板に多数の円錐状の穴を設け,中にカーボン粉末を充填した電波吸収体を製作した。この電波吸収体のXバンド帯での乗直入射時の反射係数は-30〜-35dBであった。この電波吸収体を実験室壁面に取り付け,3mx31mx3mの小型電波暗室を構築した。現在,その特性改善につき研究中であるが,同時に各種実験/研究用として利用に供している。(2)については,平面波発生の手法として,矩形導波管のH面スロットからの放射を利用した。使用した導波管は長さ1250mmのWRJ140導波管で,そのH面表面にNCによりスロットを切削した。中には誘電体を装荷し管内波長を変化させている。この導波管62本を,厚さ約4cmのアルミ平板上に固定し1250mmx1250mmの平面アンテナを製作中である。このタイプの平面アンテナは,アンテナ本体は比較的薄型であるが,使用周波数の変化によりその放射波面が傾くため,アンテナを回転出来る支持台を製作した。また,偏波の回転もこの支持台により行うことが出来る。なを,これら62本の放射導波管への給電は,コーポレート給電とし周波数特性の改善を行った。このコンパクトレンジの完成により,簡易的ではあるがXバンド帯での小型アンテナの特性評価が可能になり,全天候で,長時間対応の利用が期待出来る。
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